アメリカの顧客サービス(コールセンター)の悲劇

アメリカに住んで20年経ちますが、アメリカのコールセンターのカスタマーサービスの質の悪さには、未だにまともに付き合えず、何か問題があってコールセンターに電話するたびにストレスがたまり、挙句の果てには怒りに燃えて、喧嘩腰に電話を切るような事が絶えません。
日本と違うのは、顧客が怒りに燃えても、相手のカスタマーサービスは別に何とも思うわけでもなく、逆に顧客が怒ると、一緒に怒りを買い、なだめるのでなく、”じゃ、やめれば、私にできる事は何もないですから。”と電話を切る始末。

一例として今日の出来事をお話します。

以前にお話したかもしれませんが、私自分の身元盗難にあいまして、とあるアイデンティティープロテクションモニターという身元情報をモニターするサービスに加入しました。これも身元盗難の被害を警察に届けた際に、警察官の方が、そのサービスに入ると良いといってくれた上に、ウエブサイトなどのレビューも悪くなかったので、即入会することにしたのです。

入会手続きをオンラインでしていると、ベーシックサービスは年間$98.50と出てきましたが、その後様々な特典がアップグレードするとつけられ、より強力なプロテクションになるという広告に思わず、アップグレードをしてしまったのですが、(その際新たに$115.33支払い)結局自分の情報などを入力終える頃には、アップグレードしても対して変わらないという事に気づき、カスタマーサービスに連絡をして、メンバーサービスをベーシックに戻す依頼をしました。

ここで、簡単な計算ができる方はこのような計算図が理解できると思います。

ベーシックサービス$98.50
アップグレードサービス$213.83(ただし既に$98.50は支払っているので差額の$115.33が請求)
またベーシックサービスに戻したので、返金として$115.33がされれば問題なし!

ところが...
何も返金がされず、改めてベーシックサービス料として$98.50が課されました。

これに気づいた私は早速カスタマーサービスに連絡をし、私は以下のような金額が請求されていると伝えました。
$98.50
$115.33
$98.50
ベーシックサービスなので、$115.33と$98.50は返金されるべきではないか?と。

そうしたら、カスタマーサービスの方が、そうですね、ご迷惑をかけました。早速手続きしますと言ってくれました。

ここまではよし! 感じいいぞという感じですが、

数日後クレジットカード明細を見ると、$115.33しか返金がされていません。
即コールセンターに再度連絡をして、その旨を説明すると、再度「分かりました。$98.50を返金するように依頼をします」と。

2週間経ってクレジットカードの明細を見ても、その返金がされません。
これで3回目ですが電話をしました。 ところが今回の方は「$98.50の返金の手続きをしている形跡がありませんが、私たちは既に$98.50の返金を返しています。元々のあなたのアップグレードの金額は$213.83なのに、私たちは$98.50の割引をしたから、$115.33の金額しか課されていないのです。」
みたいな事を言いだして、にっちもさっちもいかず、挙句の果てには、調べてはみるが、時間がかかるから、自分のクレジットカード会社に連絡をしろという始末。

電話を切って、自分のクレジットカード会社に連絡をして、二回チャージされている$98.50のうち、一回分は返金されるべきで、私が課されるものではないので、DISPUTE(抗議)したいと伝えました。 ところ、クレジットカードのDISPUTE専門の方が、状況を理解し、そのコールセンターに三者通話で話をしてくれました。彼は私の言い分を十分理解してくれていたので、私に代わって非常にプロフェッショナルに説明をしてくれたのですが、コールセンターの方、全く理解できない。
彼女が言うには、
「$98.50は既に返金した。だからあなたがアップグレードした時に課された金額は$115.33なのだ。だからこちらから返金する金額は何もない」と。

DISPUTEの方が辛抱強く、彼女に、私が元々ベーシックで申し込み$98.50を支払った。その後アップグレードして差額の$115.33が請求された。ただし、元のベーシックに戻したのだから、$115.33のみ返金して終わりなのに、改めて$98.50が請求されるべきではないという事を主張して何度も説明してくれました。困惑したらしいコールセンターの彼女が少し保留して上司に確認すると言いました。

その間に、DISPUTEの方も、
「なぜ、このような簡単な返金などの計算ができないのだろう」
と言ってました。

その後、コールセンターの彼女が再び電話に現れて、
「要は$98.50を返せばいいって事でしょう?それでは、スーパーバイザーに聞いて、返金の手続きをするから」
と、納得してくれたので、DISPUTEの方は「これで問題は解決すると思うので、私は電話から外れます。」と電話を切りました。
私は心の中で(最初からそう、言ってるじゃん!)と思いましたが、黙っていました。

ところが...

戻ってきたコールセンターの彼女、
「スーパーバイザーと話したけれど、やはり私の言い分があっていて、$98.50は返金する必要はない、なぜなら、アップグレードした時に...」
と、また同じことの繰り返しが始まりました。


なんで、こうも簡単な計算ができない人が多いんだろう。しかも、スーパーバイザーなんて責任者名乗っている者まで、理解できないなんて。
しかも、このサービス、身元盗難モニターサービスで、人々に安心を与えるべきサービスなのに、こんな簡単な計算もできず、オーバーチャージをして、その計算理由も理解できないような人々を雇っているという事自体、腹が立ってきました。

私もこのくだらない電話に数時間付き合っている事自体にもいらだちが増したのがいけないのですが、もうこの馬鹿さ加減に我慢ができず、

「ああ、もういいです。こんな簡単な返金計算もできないサービスで、身元盗難管理なんて、信用できないので、サービス解約するから、説明要らないわ」
と言った後に「ところで、このサービス30日間無料体験だったわよね。すべての金額戻してくれるんでしょう?」
といったら、使った分しか戻ってこないという。 
元々の宣伝文句とまた全然違うではないか?

なので私は
「それじゃ、キャンセルはいったん保留にして、私のクレジットカード会社と話をしてこの金額問題が解決したらキャンセルするわ」
と言ったら、
「あ、もうキャンセルしたわよ。あなたがキャンセルしろっていうから。返金は使わなかった部分だけ計算されて返金されるから。」

...と。

本当に解約するか?などの確認もなしに、会話途中でポチっとキャンセルボタンを平然通す彼女。 私も思わず唖然...としました。

「本気なの?本気で解約したの?今?」と言ったら、
「キャンセルしたわよ。あなたがそう言ったから。再度加入しなおしたいのなら、改めて$98.50を支払う必要があるわ。どうしたいの?」
...だと。


もう、頭に思い切り上っていた血が一気に爆発する...というよりは、この低能さに、本当に愕然とし、ショックで何も言えませんでした。 

顧客側がサービス内容を数回変えて、請求書をややこしくしたのは確かにいけないけれど、
それでもサービスを提供する側は、その顧客に満足してもらうようにサービスを提供するためのものではないのか? しかも解約するというのであれば、その顧客をせめてとどめておくような何か対策(上司につなげるなど)があっただろうに。 しかもしかも、私は単にキャンセルするわと口走っただけで、まだキャンセルしてくださいとは言ってない。

...でも、疲れたので、もう電話を切りました。

このようなサービスを使って身元盗難のモニターをして、請求金額ですったもんだするようであれば、また、何か問題があって頼る、顧客サービスの質の悪さに気分を害するのであれば、
自分で身元盗難モニターをするしかない...と(苦笑)

ただ、私も以前コールセンターに勤めていたことがあり、毎回同じような電話を幾度も幾度も受けて、自分のせいではないのに怒鳴られたりする、このコールセンターに勤めるものの気持ちも分かるのです。褒められる事なんて本当にあまりなくて、受けるのは問題のある電話ばかり。しかも、コールセンターの給料はかなり低く時給$10程度しかもらえず、しかも時間に縛られ、コールは何分以内に終わらせないといけないとか、一日に何十本取らないといけないとか、全て数字でコントロールされています。 私が勤めていたところはトイレに行く時間さえ報告、統計に取られていました。 

...なので、分かるんです。顧客の問題なんて、別に何とも思わない。辞めたければ、勝手にやめればぁ?って気持ち。 

でも、電話を切った後、凄く寂しくなりました。$98.50が戻ってこない可能性が髙い、寂しさもありますが(笑)それよりも、これが顧客サービスとして曲がり取ってしまっている現実に。

私は前述の通り過去にコールセンターに勤めて、一時は部署のスーパーバイザーとして管理もしていたので、だいたいお客様からの苦情や問題のある要件を主に扱っていました。そこで、怒っているお客さんが何をしてほしいか?というと、第一に話を聞いて、理解をすることだという事を学びました。 苦情は確かに解決する必要はあるけれど、それ以前に、その人の状況をしっかり理解して、その状況に置かれているフラストレーションを理解し、こちらができる限りの事を誠心誠意をもってするという態度こそが、求められている事なのだと。
私はそのように少なくとも接してきたので、金銭関係の問題で、結局返金されなかったお客様にも、なぜ返金されないのか、納得いくまで何度も何度も説明し、同時にこの件で時間を要している事を謝罪しながら、他にこちらでできる事はないか?単に聞くのではなく、自ら探しました。
口から出まかせではなく、私がこの顧客だったら?という事を考えて、できる事を提案させて頂いた結果、どのお客様もそれ以上に怒りを発展することもなく、納得して電話を切ってくださいました。 ある人は、怒鳴りすぎてすみませんでしたと謝りのメールをくださった方もいます。

そういう気持ちなんですよね。顧客が欲しいのは。

でも、コールセンターに勤める方の雇用条件や状態の悪さが、そこまで思考を回らせない。
なんとも、アメリカのもうけ主義の弱点であります。また、コールセンターは条件が悪いので、回転率が大変速く、常に人の雇用トレーニングを繰り返すので、まともに知識を持った人がなかなかいないのです。悲しい現実です。


正直言って、この会社のみではなありません。アメリカでは、このようなサービスが一般的なので、皆様、コールセンターがめちゃくちゃな事を言っても、逆切れしないようにしてください。私のように逆切れしますと、このように勝手にキャンセルされてしまったり、何も解決しないまま終わってしまう事が多いです(泣)逆に、コールセンターの人と仲良くなったり、大変だよね、ごめんね、色々世話かけて~みたいな同情を含めて、じっくり付き合って、お願いすると要件をこなしてくれるそうです。

...なるほど。

そこで、在米20年目になる今年は、決めました。
「カスタマーサービスに忍耐的に付き合い、絶対に彼女(彼)らの態度に逆切れしたりしない。ナイスに対応する」
...と。 


こちらが同じくらいのレベルで付き合って怒ってしまったら、負けです。
私が過去に顧客に行っていたサービスを期待しても負けです。
これは、私の忍耐訓練なんだという事にし、顧客サービスへの電話の対応に、感情を壊さず、逆切れせず、解決できる事が、私への人間性の成長なのだと。大げさですが、本気でそう思うようにしました。

でも、私自分が顧客に対応するときは、かなり辛抱強く対応できるのに、自分が客側になると、こうも逆切れしちゃうって、いけないですね。きっと私の中での顧客対応はこうあるべき!みたいな持論に沿ってない怒りがこみあげてしまうんです。エゴでしょうか?反省反省です。

皆様も、カスタマーサービスでこのような対応をされても、忍耐、忍耐...と感じよい態度で、粘って下さい。今のところそれが一番効く方法だと思います。



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