安全って一体なんだろう?

不動産エージェントをしていて、良く頂くご依頼の中に、”安全な場所”というのがあります。安全な場所を紹介して下さい...という感じです。
日本ではごく当たり前に交わされている言葉だと思うのですが、米国に住んでいる方々が、このような言葉を不動産エージェントに発することは滅多にありません。なぜなら、安全というのは、個人の判断基準によるもので、なおかつアメリカには”安全”な場所というのはないという概念があるからだと思います。 勿論、アメリカは訴訟の国ですから、安全ですと言い切ってしまえば、その後、その場所で犯罪など起こってしまえば訴訟対象になりますし、そのようなリスクも踏まえて、顧客もサービスを提供する側も”安全”という言葉を暗黙の了解のごとく口に出しません。

それと同時に、暗黙の了解で口に出さないのは、”人種””宗教”などでしょうか?アメリカは国の法律で、差別法が徹底しています。人種、宗教、肌の色、国籍、性別、文化、そして子供がいる事に対して差別することは、FAIR HOUSING LAWという国の法律で厳しく規制されており、これに反すると高額な罰金が課されます。従って、不動産エージェントも、”XX人がいないところ”というようなご依頼は残念ながら受け入れられません。

それでは、どうやって安全な場所を探したらよいのか?というところなのですが、安全基準として、私個人が実際に行っていた事をここでご紹介します。
各自の安全基準は異なりますので、そのことを予めご了承ください。

  1. 車で運転して回る。朝、昼間、夜。特に夜ですと近所の人も帰ってきますので、どのような方たちが住んでいるかなんとなく分かりますし、夜の道の暗さや明るさなどの雰囲気もつかめます。平日、休日と分けて周るのも一つの手です。
  2. 近所の家のガレージや道路脇にやたら多くの車が常に止まっている、道路がゴミなどで汚い、壊れた車が放置したまま...などのエリアは避ける(ホームオーナーズアソシエーション地域の組合が、管理をしていないという証拠)
  3. 学区が比較的良いところを探す。学区が良いという事はそれだけ不動産価値が上がっており、お子様の教育の為に不動産を購入する方も多くいます。それだけの投資をしているエリアですから、家の周りの環境などもかなり力を入れているところも多いです。
  4. ウエブサイトなどで犯罪マップを参考にする。CRIMEREPORTS というサイトなどが一例ですが、このようなサイトで過去の犯罪や性犯罪で登録されている人たちが、地図に出てきます。犯罪がなかったからといって今後もないという事はないのですが、一つの参考にして頂ければと思います。 尚、性犯罪は一度逮捕されると、この記録は削除はされないようです。
尚、各自で被害にあうリスクを低める事は可能だと思います。
いくつか挙げますのでご参考までに。
  1. 車の中(窓から見えるところ)に何も残しておかない。買い物などした後、車をいったん離れる時は、トランクに全て入れる。車は盗難よりも、車上荒らしの被害が多発しています。昼間も夜も同様に気を付けてください。
  2. 大きな車に隠れるようなところに止めない。以前高級住宅街のスタバで窓越しで、朝10時ごろお客さんとミーティングをしていた時、その斜めに止めてあった大型トラックの後ろにあったセダンの車が車上荒らしに合いました。私たちも窓越しに座って話をしていたのですが、大型トラックがあったので全く気付かなかったわけです。
  3. 大きな買い物をした時(大きな荷物)は早めに車に戻りトランクに入れ、家に帰るようにする。特にデパートなどではこのような買い物を狙った犯罪があります。
  4. 怪しい車がついてきているような気配があったら家に帰らない。警察署などを探して、そちらに立ち寄るか、家族知り合いなどの助けを呼び公共の場所で、待ち合わせをしてもらう。
  5. 夜暗くなってからの単独の行動は控える。
  6. 家の中では外出するときは特にブラインドは下げて家の中を見えないようにする。
  7. ADTなどのホームセキュリティーに加入してモニターをしてもらう。(家の前にセキュリティーの看板があるだけでもリスクは回避できる可能性が髙くなるでしょう)
  8. 近所同士仲良くなって信頼関係が築けたら、近所同士見張るようにする。
  9. 長い間留守にする場合は郵便配達を止めてもらう。このサイトから郵便局にその旨を連絡して郵便を保留していただき、戻ってきてから郵便局に直接取りに行きます。
  10. 長い間留守にする場合、玄関の明かりはつけっぱなしにしておく。ずっと暗いままですと、居留守という事が分かりますので。
  11. 近くのポリスステーションの住所、連絡先などを冷蔵庫のところなど、目のつくところに記入しておく。
以上です。

<後記>
私はヒューストンに20年暮らしていますけれど、幸い被害などに合った事はありません。夜も外に出たりしますし、普通に生活はしています。はじめて単身でヒューストンに来た20年前は、アメリカの犯罪大国みたいな画像ばかり見ていたので、私は生きて帰ることはないだろう...くらいの覚悟でいました。何も知らない場所で、車もないのでメトロの小汚いバスに乗って学校に通いました。日曜日にはダウンタウンには人影が消え、ホームレスの方たちばかりになるような処で、何も知らずバスに乗って観劇に行った事もあります。ヒューストンは車社会なのでバスに乗るという方たちは低所得者の方が多いのですが、そのような人々の人間観察も、当時若く、そして社会科学を専攻していた私には映画では見れないアメリカの真の姿であり、逆に興味深く観察してしまったり、お話してしまったり、その状況に溶け込んで?しまったのが良かったのかもしれません。
皆様も、あまり怖がらず、神経質にならず、ヒューストンを楽しんで頂ければと思います。

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